『モンテッソーリ教育の平和教育の考え方!』
最近、ロシアとウクライナの戦争のニュースを見て、ふと、10年以上前に聴講した、モンテッソーリ教育の第一人者である相良 敦子先生の講義のことを思い出しました。
【相良 敦子先生の著書】
平和教育とは?
学校で行なう反戦平和教育
あなたは、「平和教育」についてどのようなイメージをお持ちでしょうか?
学校で一般的に行なわれている平和教育とは、
まさに「戦争反対!」
の気持ちを持てるように、
「戦争の悲惨さ・醜さ」を教え込んでいくという平和教育の方法が多いです。
これは、反戦教育
という形式の平和教育になります。
しかし、その反戦教育を受けている子どもたちの心に、一体どれだけ、平和的な心が浸透されているのでしょうか?
もちろん、反戦の心が宿っているので、国同士の爆弾を投下したり、銃で撃ちあうような戦争に巻き込まれるのは嫌!
という心は深く根付いているかもしれません。
しかし、”平和”
という観点で言うと、戦争だけのことでは無くなります。
殺人、幼い子供の虐待死、いじめを苦にした自殺、体罰など、被害者側からすると、とても平和な環境に暮らしているとは思えないですよね。
このように反戦教育は、戦争に限ってしまうため、いじめ、暴力などは、また別なものとして時間を作って教育しているのが、反戦教育をする学校の実情と言えます。
形成的平和教育
しかし、日本の学校、地域によっては、反戦を唱えるのではなく、まず身近な人との争いを無くせるように、
「平和を建設できる人柄に育てること」
を、目的とした平和学習の取り組みをしている学校もあります。
実は、全国のモンテッソーリ教育の幼稚園もその一つであり、
相手の気持を考えて行動する習慣を身に付ける工夫が、幼稚園での生活の中の随所にあるそうです。
例えば、朝のお仕事で、自分の使うお仕事道具を、使い終わったら、
元の場所に、同じ状態で戻す!
ということを繰り返しますが、その理由を、
「次に使う人(=他の人)が困らないようにするためよ!」
と説明するそうです。
また、誰かが、お茶の入ったコップを床にひっくり返してしまい真っ青になって突っ立っていると、別な子が雑巾を取りに行き、拭いてくれることがあれば、
拭き終わった後、雑巾がけをしてくれた子に対し、
「困っていた○○ちゃんを助けてくれた□□君の優しい行動に拍手を送りましょう!」
と、困っている相手のために活躍した行為を称賛して、みんなで拍手を送るそうです。
すると、自分も拍手をしてもらいたいと思う子たちが、ほかにも困っている子を探し始める競争をするようになるそうです。
このように、講義を通して、幼稚園での様々な活動の中で『モンテッソーリ教育のすべてが、平和教育につながっている』ことを知りました。(※幼稚園によっては、内容が異なるかもしれません。)
モンテッソーリ教育の考えによる平和教育の狙いは、
「平和を建設できる人柄に育てること」
「物事を平和的な解決力のある人に育てること」
そして「平和を作るために、どんな小さなことからでも協力しよう!という心が持てる人に育てること」
この3点を、形成的平和教育と呼び、0歳からの育児の中で始めてほしいと言われていることだそうです。
幼児期に育てた平和的な人格は、大人になっても自然と反戦の心が芽生え、また、平和的解決をどうすればいいかを、身近なところから始めることができるからです。
そういう人たちがたくさんいればいるほど、きっと戦争は回避できることでしょう。
少なくとも、このように、みんなが、周囲を気遣うようになれば、身近な争いが減り、その先に、凶悪な事件の抑制、反戦心が芽生えるのではないか?
戦争に対しては、随分遠回りのようですが、身近な環境は平和になる!
という利点がありますので、まず優先して取り組みたい平和教育とも言えます。
家庭での親子戦争
大人は子どもと争っている!
しかし、平和教育と言っても、反戦教育で育った私にとっては、戦争は世界単位のことで、家庭で起こっている親子戦争には、あまり意識していなかったため、
次のような相良先生の言葉が胸に突き刺さりました。
先生が、フランス語のモンテッソーリ教育について、翻訳をされた時、最も心に残った内容だそうです。
大人はこよなく子どもを愛しているのに、いざ自分にとって不可解な行動をしたり自分に都合が悪いことを言ったりすると、突然、あんなに愛している子どもにとても無理解になります。そして、上から押さえ付けてしてしまうのです、『あなたより私の方が知っている”とか“あなたの為を思ってやっている”』と。
引用元:「イデー・モンテッソーリ」より
その後、モンテッソーリ教育を深く学ばれた相良先生の著書の中では、次のようなことを、親へのメッセージとして書かれるようになりました。
- 大人と子どもは争っている。
- 大人は子どもを愛しているようで理解していない。
- 子どもも大人を愛しているけど立場が弱くて、本当にやりたい事をしようとすると、大人から押さえつけられる。反対される。
「そのため、本当は従順で優しい子どもであっても、命懸けで反発する事があります。そして大人と子どもの間に深刻なもつれが生じて、それが相互作用となって、子どもは打ちひしがれてしまうのです。そして子どもは本来の性質、良さを隠してしまって、大人に従わざるを得ないし、大人に無理に従うからドジをするし、そのドジをした子どもを大人は見てイライラするし、大人と子どもの間に悪循環が起こってしまいます。」
引用元:「イデー・モンテッソーリ」より
当時、講義でこのような内容のお話しを聞いた時、心当たりがあり過ぎて「はっ!」としたこと、今でも覚えています。
「しつけ」とか、「周囲に迷惑を掛ける」とか、家庭で「母親の仕事(掃除や片付け)を増やしてしまった!」、「将来の子どものため!」という気持ちなどから、
つい声を荒げて、怒鳴り合ってしまった経験、心当たりがいっぱいありました。
そして、次のようなアドバイスがありました。
親子戦争をまず止めましょう!ー5つの心得
①(家庭で親子が怒鳴りあって暮らしていくことよりも)
子どもの尊厳を守って育てていくことが大切。(すると、他の人にも優しくなれます。)
②自分は「誰かに必要とされている」という、人間的存在価値を認め、自信を持たせてあげること。
(ひどく叱られて、「自分は、お母さんに愛されてないんだ‥。自分なんて、どうせ、何もできないんだ‥、自分なんて、この場にいなくても‥」などのような気持ちにさせると心がゆがんでしまい、平和的な心まで失われてしまいます。)
③社会性を育てる。
(ここでいう「社会性」とは、
「(みんなと同じ行動が取れるという)集団行動ができる」ということだけではなく、その集団の中でおいて、必要な分担が分かり、集団の中で自分の役割は何かを判断し、行動できる
※先ほどの、お茶をこぼした子を助けた例も、この一つとして紹介されました。
④無理に子どもの個性を抑圧しないこと。
抑圧は、必ず、心がゆがんでいってしまうということを、親が自覚して接すること。(※モンテッソーリ教育では、敏感期を重要にしており、その敏感期を逃さず対処していくこと。詳しくは⇒著書「お母さんの敏感期」)
⑤子どものやろうとすることを受け入れ、支え、助けてあげること。情緒の安定を保ってあげること。(詳しくは⇒著書「ママ、ひとりでするのを手伝ってね!」)
などのようなことを意識して、子育てをしていくことで、
平和を作る心を育てる第一歩になるそうです。
特に、「子どもの尊厳」や「人の役に立てる、必要とされている人間であるという自覚を持たせる」ことが子どもの自己肯定感の高低にも繋がっていくため、重要な心得と言えます。
最後に
相良 敦子先生は、最後に、次のようなこともおっしゃっていました。
ここで重要なのが、「平和的な心を持たない天才児に育てても、何の意味も無い」ということです。
例えば、心のゆがんだ天才児が国の指導者となり、エゴイズムで、権力欲・所有欲・破壊欲などを持つと、世界の将来はどう変わっていってしまうことでしょう。
そのような世の中に絶対にしてはいけない!と語気を強めたのが印象的でした。
マリア・モンテッソーリ女史は、子どもたちに教具を使わせるだけではなく、教具を使わせながら、このような形成的平和教育を行なうためのシステムを、モンテッソーリ教育のすべてに取り入れていかれたそうです。
やはり、これを聞くと、我が子が、もし身近な環境において、物事を平和的解決ができない大人に育ってしまうと、いずれ、社会でトラブルをどのように解決していくのか、不安が残ります。
形成的平和教育は、親子関係が大きく影響します。
まずは、お父さん・お母さんが、親子戦争を止めること!
それが、今一番、すぐにでも始められる平和活動・平和教育となるでしょう。
でも、その後、私は、だんだんとそのお話を忘れていき、また我が家で、親子戦争を長期間、続けていました。
それを、一夜にして終わらせてくれたのが、この”性格統計学”でした!
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